2015年5月6日(水)

府中市美術館

東京都府中市浅間町1-3

府中市美術館

今年のGWはそれらしいことを何もしなかったので、最終日に府中美術館に行ってきた。動物を題材にした江戸時代の作品を集めた特別展「動物絵画の250年」は今日まで。混雑もなくゆっくりと見て回ることができたのは良かったけれど、もっとたくさんの人に見てもらいたいような、でも混雑はイヤだし、と複雑な気持ちになる素敵な内容だった。

新緑

常設展で印象的だったのは、保多棟人の「平久保の椎」(1981)。大きなカンバスに森とも山塊ともつかない緑の塊が力強く描かれた作品で、一目で惹きつけられ目が離せなくなってしまったのだが、題材がわたしも見たことがある平久保(びりくぼ)公園のスダジイだと知って、なおさら親近感が湧いた。彼はこの樹を題材にした作品を繰り返し描いたそうだが、確かにあの樹には人を惹きつける力がある。

美術館の外には「地下のデイジー」という作品が埋まっている。何年かしたら掘り出してみよう、というタイムカプセル的なものではなく、埋まっていること自体が芸術表現だというのだが、どうだろう。

かたわらに添えられた説明書きは来訪者に踏まれ雨風に打たれてすり減っている。いずれ読めなくなって、作品の来歴もわからなくなってしまうかもしれない。そうなった時、それでもこれは芸術作品として鑑賞者の心を打つのだろうか。

江戸時代に書かれた虎や子犬たちのわかりやすい絵を見たあとだけに、現代アートの難しさが改めて印象に残った。

地下のデイジー | 平久保公園のスダジイ