平久保公園のスダジイ
東京都多摩市落合4-22
山をつぶした多摩ニュータウンの、自然を生かしているようで実はこぎれいに作り直した箱庭のような公園が多い中で、平久保(びりくぼ)公園に残る昔のままのスダジイには圧倒される。夏空に湧起る入道雲のような力強い姿は、開発に負けまいとするエネルギーのようなものさえ感じられるほどだ。
スタジオジブリの『平成狸合戦ぽんぽこ』(監督・高畑 勲、1994)は、多摩ニュータウンをモデルに、開発によってすみかを追出されるタヌキたちの闘いを描いた作品だが、結局人間の姿に化けて生延びる道を選んだ彼らは、こんな古木の元に集って息を抜くのではないかと思わせる。
小高い丘の斜面に立っているので、がっちりと大地を掴んだ根が半分むき出しになっている。少し小ぶりではあるが、『となりのトトロ』(監督・ 宮崎 駿、1988)が棲んでいた木の根元を彷彿とさせる雰囲気があった。
※ 府中市美術館にこの木を描いた「平久保の椎」(保多棟人)という作品が展示されています