スポーツサングラス狛犬
神奈川県横浜市青葉区寺家町880 熊野神社
その昔、最初に憧れたサングラスはレイバンだった。マッカーサー元帥がコーンパイプをくわえて厚木飛行場に降り立った時にかけていた、卵型の、いわゆるティアドロップ型というやつだ。
次に欲しかったのはジョン・レノンの丸メガネ。大正生まれのお爺さんがかけているようなイメージが一転して、急にかっこよく見えたものだった。
その後、ラップラウンド型のスポーツサングラスが出てきた時には驚いた。狐のように目尻の尖った強面スタイルの前では、悪人顔に見えた今までのサングラスがどれも愛嬌のあるパンダに見える。スポーツサングラスのロードレーサーが向こうから走ってくると、普通の人だとわかっていても身構えてしまう。
熊野神社の狛犬は、まさにそのスポーツサングラス顔だ。怖い顔をして高みから寺家の郷を睥睨している。「フッフッフ、この世は俺たちのモンだぜ」とでも言ってほくそ笑んでいるかのようだ。
奉納は大正十四年(1925)。