広瀬ダム
山梨市三富上釜口篠平1178-1
笛吹川に沿って山道を登っていくと、大きな滝の音が聞こえる。台風10号がもたらした大雨で増水した広瀬ダムから余水を放流する音だ。
豪快に落ちる滝の景色を期待して音のする方に目をやるのだが、あいにく、放水の様子は木々の合間からちらちらと見えるだけで全景はなかなか姿を表さない。悶々とした気持ちのまま坂道を登り切ってダムに到着した。
目の前に広がるダム湖(広瀬湖)は一転して穏やかに、午後の日差しの中でまどろむような姿を見せている。
湖って、どうしてどこも静かで気持ちが安らぐのだろう、と、ふと思う。渓流に沿って山道を登ってきて一段落する、ある意味山頂のようなイメージがあるからだろうか。あるいは、険しい山から下りてきて、平らで危険のない安全地帯に軟着陸したような気分を味わうからだろうか。そんな時ばかりではなかったはずなのだが、わたしの記憶の中では、湖の上の空はいつも青く穏やかに澄んでいる。
ダム管理事務所の前には、大小の流木が山のように積んであった。ガーデニングの飾りや、木彫りの材料として無料で配布されているのだそうだ。ちょっと興味をそそられたけれど、自転車では持って帰れないよね。