浜 通 り
福島県双葉郡広野町下浅見川
広野の駅に降り立ってギョッとした。町の北方、間近に見える二本の煙突は、まさか、福島第一原発?いやいや、そんなに近いはずはない。
来てみて初めて知ったのだが、常磐地方の太平洋側は福島第一・第二原子力発電所のほかにも東海・東海第二(原子力)発電所(※)、原町火力発電所、広野火力発電所(これが煙突の主)、常陸那珂火力発電所、そのほかにもたくさんの発電所が犇めく電源地帯だったのだ。
福島県の東部は「浜通り」と呼び習わされている。文字通り海沿い(浜)の街道(通り)として国道6号線(陸前浜街道)、常磐自動車道、JR常磐線が南北に通っている。同じように国道4号(奥州街道)、東北自動車道、JR東北本線と東北新幹線が通る中部は「中通り」と呼ぶ。
原発事故のショックが大きすぎて忘れられがちだが、浜通りの各地も津波の被害に遭っている(そもそも原発事故そのものが津波によるものだ)。ここ広野町でも常磐線の東側一帯が浸水して、2人の方が亡くなり(+行方不明者1人)、家や田畑も流された。海岸沿いには高さ8mを超える堤防の整備が進行中だ。
海岸から振り返ってみる広野駅東側地区は、まだ再開発の途上でがらんとしている。ひときわ目立つ白い6階建てのビルは、復興のシンボルとして今年3月に竣工した「広野みらいオフィス」だ。復興工事関連の会社や官公庁の事務所などが入居して、再開発を推進していく。1階にはコンビニがあり、わたしもそこのイートインスペースでお昼を食べた。
町を励ますようにそびえているその姿は、とても頼もしく見えた。
※ 東海発電所は1998年に運転を終了し、現在は廃炉作業中
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