国立新美術館
東京都港区六本木7-22-2
ミュシャ展は混んでいた。入場まで80分待ち。長い行列に並んでいる間、ぼんやりと黒川紀章が設計した(2006)建物をながめていたら、頭の中に大きな?マークが浮かんできた。
ガラスカーテンウォールのこの外壁(というか窓)は、どうやって掃除するのだろう。
ふくよかな曲線で表現された繭玉のような姿は、それだけでも対応が難しそうなのに、さらにその表面をびっしりとルーバーが覆っていて、窓拭き職人のアプローチを拒んでいる。透明感が命のガラスを、ただ雨風が洗ってくれるに任せるという訳にもいかないだろう。その雨風だって、一般住宅なら台風が来れば雨戸を閉めて防御するけれど、この一面のガラス窓とルーバーは大丈夫なのだろうか、と思っていたらルーバーを固定する外枠の内側にレールのような溝があるのに気がついた。
この溝に沿ってシャッターが下りてきて、台風の時は全体を覆うんじゃないの。そのシャッターに絵が描いてあったらきれいだね。などと、連れは呑気なことを言う。それはいいアイデアかも、と思ったが、まさか。
あとで調べてみると、窓拭きはその名もスパイダーという清掃ロボットがやるのだという。レールのように見えたのはまさにそのスパイダーが動き回るためのガイドだったようだ。蜘蛛と窓拭き、ちょっとイメージが湧かないが…。
夕立の後、雨粒を貼り付けてキラキラと輝いていたクモの巣を見た子供の頃を、ふと思い出した。