2017年8月23日(水)

バッキンガム狛犬

宮城県石巻市渡波町3-4 秋葉山神社

狛犬

胸をぐぅっと反らせて背筋を伸ばした姿は、これまでに見てきたどこの狛犬にも似ていない。猫背になってこちらを睨みつけ、今にも襲いかからんばかりにギラギラとした他の狛犬とは違って、悠然と岩山の上から天下を睥睨するワシかタカのようだ。

鳥居

おそらく震災の影響だろう、鳥居は笠木を失って戦国時代の砦か関所の門のようになっている。火伏せの神である秋葉さんも地震と津波には勝てなかったようだ。

狛犬の台座には「大正十四年六月廾四日渡之波町」とあった。今の町名には之の字がないが、「わたのは」町と読む。牡鹿半島の付け根、石巻湾と万石浦の間に架かる万石橋のたもと付近に鎮座する秋葉神社を、バッキンガム宮殿の門衛のように直立不動の姿勢で護っている。

その毅然とした面もちは、震災なんかに負けないぞ、たとえ鳥居を崩されても、この神社、この町はオレが護る、と言っているようで頼もしく見えた。