旧福生郵便局
東京都福生市大字福生637 純福音福生教会
国登録有形文化財に指定されている旧ヤマジュウ田村家住宅を訪ねると、向かいに赤い十字架を戴いたピンク色のかわいらしい洋館が建っていた。キリスト教会だから洋館風にしたのかと思ったが、実は古い郵便局の建物を転用したものだった。
明治四十四年(1911)に田村家が開設した旧福生郵便局で、よく見ると、十字架の下の鬼瓦に郵便マークがついている。開設当初からこの建物なのかどうかは分からないが、そんな雰囲気は漂ってくる。
…とさらりと書いたが、あれ?、郵便局って個人で開くものなの?
郵便事業は明治4年(1871)、新政府の成立後いち早く実施された国家事業だが、制度化を急ぐため、名主や庄屋など各地の名士から土地・建物の提供を受け、彼らを局長に任命して郵便局の全国展開を進めたのだそうだ。
この制度は郵政民営化直前まで「特定郵便局」という名で継承されていて、全国の郵便局の8割近くがこの形態だったというから驚きだ。郵便局長は「(事実上)世襲の国家公務員」という不思議な存在だった。
世の中にはまだまだ知らない事がたくさんある。