石造庚申供養塔
東京都三鷹市新川2-1-21(天神社)
新しいものばかりの街を走る。せいぜい古くても4〜50年。関東大震災と、太平洋戦争で多くを失った東京は、いやそれでなくとも紙と木の家に住む新しもの好きの人々によって日々Renewalされている。
だから樹齢を重ねた大きな木や古い庚申塔などを見つけると、時間のひずみに足を取られたような不思議な気分になる。時間は確かにつながっていることを実感しつつも、あいだに横たわる大きなギャップにとまどってしまうのだ。
左の庚申塔には延宝8年(1680)という文字が読める。
庚申塔には青面金剛が彫られたものが多いが、これは見ざる、聞かざる、言わざるの三猿だけの簡単な造りだ。三尸(さんし)が天帝に告げ口をしないように、という想いが素直に伝わってくる。
猿たちに、300年前のこの辺りがどんな景色で人々はどんな暮らしていたのか聞いてみたいが、たぶん教えてはくれないだろう。