2006年5月3日(水)

夏目漱石旧居跡

東京都文京区向丘2-20-7

碑

「吾輩は猫である」の主人公は、餅をのどに詰まらせて死んだのだとずっと思っていた。ところが、改めて読み返してみると、死因は庭に置かれた甕に落ちての溺死だった。記憶は当てにならないものだ。

明治村

くだんの餅の話は、初めて雑煮を食べた吾輩が歯にくっつく餅と格闘するあまり、おかしな踊りを披露する羽目になり家人に笑われる、という挿話が記憶の中で大往生の話にすり替わってしまったらしい。

猫は気位が高く、ニヒルで、自我が強く自由奔放、などと性格付けされているようだ。そんな猫が餅踊りを見られてしまうのだから、見る方も見られる方も相当な衝撃(笑劇)だったことだろう。

漱石邸跡の塀の上にいる猫は、「そんな話は知らねぇな」とばかりにすました顔をして、こっちを見ようともしない。よっぽど悔しかったに違いない。

ちなみに吾輩が甕に落ちたのは、ビールを飲んで酔ったあげくの失態だった。みなさま、お気をつけ召され。

※ 右写真は、明治村に移築された猫の家

文京区教育委員会の説明版 | 碑 文