掩体壕大沢1号、2号
東京都三鷹市大沢6-11(武蔵野の森公園内)
10分しか記憶を維持できない男の話。衝撃的な映画「メメント」(Memento、監督・脚本:クリストファー・ノーラン、2001)以来、失われていく記憶を題材にした物語を書籍や映像で頻繁に目にするようになった。
その時々に時代を象徴するテーマがあるけれど、私が子供の頃、同じように頻繁に取り上げられたのは白血病だった。薄幸の美少女が病に倒れる。輸血が必要なのだが、血液型は10,000人に一人しかいないRh-で…、なんて言う話を繰り返し見聞きした覚えがある(実際のRh-人口は200人に一人ぐらい)。
まだ原爆の記憶が薄れずに残っていた時代だったのだ。
戦後60年が経過して消えかけた記憶を掘り起こすかのように、調布飛行場の北側に眠っていた二基の掩体壕が今月から公開されている。とても戦闘機の格納庫とは思えない姿が、長い年月を感じさせる。
公園の東口に近い一基(大沢1号)は、開口部を塞ぐ蓋に飛行機の絵が描かれ、その前には掩体壕に格納された状態を説明する戦闘機「飛燕」の像が置かれていた。戦争に反対か賛成かなどという議論には関係なく、戦闘機や軍艦のプラモデルに熱中していた子供の頃を懐かしく思い出した。