妙見尊
東京都稲城市百村1588
昔、ニュージーランド沖で日本の漁船が首長竜プレシオサウルスか?と疑われる巨大生物の腐乱死体を回収して大騒ぎになったことがあった(1977年4月、その後ウバザメ説に落ち着いたが、いまだに恐竜説は消えていない)。
稲城の妙見尊で、萱でつくられた巨大な蛇の頭を見て、そんな遠い記憶がよみがえってきた。
8月7日の蛇より行事からまだ一週間も経っていないというのに、大きくくぼんだ眼窩といい、バラバラとほつれた萱の様子といい、山の上から降りてきた大蛇がここで息絶えて、そのまま何年も放置されたかのような凄惨な姿に見える。
世田谷の奥澤神社に棲む大蛇の愛嬌のある顔とは大違いだ。
蛇の胴体は右手の階段の脇に沿って置かれ、尻尾は頂上の本堂前にある。その境内には星祭講中が寄進した手水鉢や供養碑が並んでいる。「妙見尊」の名は北極星や北斗七星を祀る北辰妙見信仰に由来しているのだ。そう言えば最後に北斗七星を見たのはいつだったろうか。
階段を降りかけて振り向くと、木洩れ日が、昔キャンプの夜に見た星空に重なってちょっとセンチな気持ちになった。