2006年9月17日(日)

聖橋

東京都千代田区神田駿河台4-5 (JR御茶ノ水駅東側)

聖橋

子供の頃に親しんだのりもの絵本に、御茶ノ水橋から見た聖橋の絵があった。地上と地下を走る電車(国電・現JR中央線と営団地下鉄・現東京メトロ丸の内線)が同時に見られる珍しい場所として描かれていたのだと思われるが、その絵本を失った今、私の中でそのイメージは果てしなく膨らんで、あらゆる乗り物を見られる交通のメッカとしてまぶたに浮かんでくる。

画面中央を横切る地下鉄の上に架かる聖橋には車や自転車が走り、その向こうには昌平橋の上を走る檸檬色の総武線が見える。聖橋のたもと、御茶ノ水駅には橙色の中央線が停車し、今まさに発車のベルが鳴ったようだ。医科歯科大前の外堀通りをゆっくりと過ぎてゆく路面電車(都電)。空にはヘリコプターや飛行機が飛び、なんと神田川にはボートまで浮かんでいる…。

写真を撮っている横で、親子連れが電車を見ていた。いっこうに動こうとしない子供を急かす父親の声はおざなりで、親子共々この景色を楽しんでいるようだ。彼らの心にも、私が妄想したような景色が浮かんでいたのだろうか。

設計は武道館や京都タワーの設計者と知られる山田守(デザイン)と復興局第三代橋梁課長の成瀬勝武(構造設計)、昭和2年(1927)竣工。

聖橋の由来