2004年11月3日(水)

御野立場碑

東京都国立市青柳340

御野点場碑

沿道に屋敷墓の並ぶ多摩川サイクリングコースの異次元スポット、青柳を久しぶりに通りかかった。区間の中程にあって、永く謎の存在だった石碑の周りがきれいになって今まで見ることのできなかった碑文を目にすることができるようになっていた。

南面する表面には「御野立塲」、裏面には大正元年(1912)11月18日に天皇がこの場所に立ち寄ったことを記念するために建てられたと彫られている。

この年、大正天皇は11月14日から20日にかけて川越で行われた陸軍特別大演習を統監した。18日付の東京朝日新聞には所沢飛行場へ騎馬で向かわれる天皇の姿が写真入りで報道されている。この時、初めて演習に参加した航空機二機のために青柳河川敷の水田に板を敷いた仮設滑走路が設けられたという。これが18日のことだったかどうかは資料がないが、この碑に関係がありそうだ。

御野点場碑

航空機の操縦は、日本最初のパイロットとして知られる徳川好敏大尉と木村鈴四郎中尉であった。木村中尉は、翌年青山練兵場から所沢飛行場への飛行の途中に起きた事故により、日本で最初の航空機事故犠牲者となった人だ。

帰り道、日も暮れかかって暗くなった林の中で、碑の周囲だけが遠目にもキラキラと輝いて見えた。鬱蒼とまわりを囲む木立の、一角だけ木が伐られてそこから夕陽が射込んでいたのだ。

多摩川のガイドは沢山見てきたが、なぜか府中用水取り込み口と貝殻坂の間のこの不思議空間を書いたものをまだ見たことがない。何か触れてはいけないものの蓋を開けてしまっただろうか?

2001年3月17日の訪問記 | 碑 文