2005年5月15日(日)

長念寺

神奈川県川崎市登戸1416

山門

麒麟や鳳凰などの想像上の生き物を霊獣と呼ぶ。日光東照宮には150種を越える霊獣が800体あまりも彫られているという。口から吐いた気が幻(蜃気楼)を呼ぶという「蜃」や鰐を神格化した「息」など、一体どんな姿をしているのか、見ても聞いてもわからないだろう。

登戸の住宅地に埋もれてひっそりと佇む長念寺にも、多くの霊獣たちが棲息している。

鐘楼

多摩地区では神社の拝殿で見る例が多いが、ここでは山門から迫力満点の龍たちに迎えられる。本堂の向拝にも龍、鳳凰、唐獅子、象(獏かもしれないが、勉強不足で区別がよくわからない)が見事に彫られており、目を転じると鐘楼にも凝った彫刻を見ることができる。そのほかにも金鶏や牛の姿を変えたものらしい姿などを探すのは、さすがに東照宮と比べるほどではないが、散歩の休憩時間を埋めるには十分に楽しい。

ほかの神社などでも見られるものだが、人が彫られた部分もある。たとえば八岐大蛇を成敗する素戔嗚尊とかなんとか、昔の人なら一目でわかる物語を表しているのだろうが、見当もつかないのが残念だ。

それにしてもさまざまな霊獣たちを創りだした昔の人々の想像力と、それが今に至るまで伝えられていることに感服する。案外、僕らが子どもの頃に親しんだバルタン星人やクラゲ様の火星人のイメージも100年、1000年と語り継がれたりするのだろうか。

川崎市教育委員会の説明板