下山千歳白菜発祥之地碑
東京都世田谷区北烏山9-1-38(北烏山九丁目屋敷林市民緑地)
寒い季節はなんと言っても鍋。何はなくても、とりあえず白菜ととうふがあれば一杯始められる。
最近は核家族化が進み一人暮らしも増えたので、白菜は半分や四分の一に切られて店先に並ぶ事が多くなったが、世田谷にはかつて、ふつうの白菜の2〜3倍の5kgを越える大玉の白菜があったという。旧千歳村(烏山)の下山義男さんが開発したことから「下山千歳白菜」と名付けられた品種は、その大きさもさることながら、病害に強い事が評価されて昭和28年(1953)に農林省の登録を受け、世田谷のみならず関東一円で広く生産されていた。
しかし、戦後の食糧難の時代には人気があったものの、先に書いたような時代背景には勝てず、今では全く市場に出ていない幻の白菜となってしまった。
下山千歳白菜を記念する碑が建つ北烏山九丁目屋敷林市民緑地は、下山家の一部を世田谷トラスト協会が管理・公開しているもので、東京23区内の、しかも甲州街道の間際とは思えない静かな農家の庭先でしばしの憩いにひたることができる。
一時期生産が途絶えていた下山千歳白菜だが、平成10年(1998)から市民グループの手によって復活し、毎年栽培が続けられているそうだ。