ハナミズキの散歩道
東京都小金井市東町5-2
海を渡る蝶の話を聞いたことがある。本で読んだのか話に聞いたのか、真実か創作かもおぼろではあるが、わたしの記憶の中には群をなして大西洋を渡るキチョウの映像が残っている。
もしそれが白い蝶であったならば、その飛び行く姿はこんな感じだろうか。武蔵野公園のハナミズキの散歩道の入り口に立ち、緩く弧を描いて伸びていく白い花の群を見てそんなことを思った。
野川沿いの道に並行して、この散歩道はハナミズキのためだけにつくられている。陽春の昼下がりに歩いて、こんなに気持ちのよい道も珍しい。今日もたくさんの人が集まっていた。
ところで、海を渡る蝶といえば有名なこの詩。
てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。(「春」安西冬衛)
この詩の蝶は何色で、韃靼海峡(間宮海峡)をどっち向きに渡っているのだろうか。