原峰公園
東京都多摩市関戸6-28
旧鎌倉街道に面した戦国時代の砦のような門構えに迎えられて石畳の道を登っていく。公園なのに所々に旧家の墓地が残されていてなんだか怪しい雰囲気だ。
谷には木橋が架かり、梅林には八つ橋、山の斜面には水仙の花、と書くと楽しげだが、その隙間に漂っているちょっとワイルドな感じはうまく言葉では表せない。関戸城址と言われる原峰公園は、明るく整備されたニュータウンの公園とは一線を画した独特の雰囲気を持った自然公園だ。
園内のお墓と関係あると思われる農家とその田畑がつくる周囲の景色と、振り返って見る高層住宅群のアンバランスが不思議な感じを増幅させる。
城とは言っても物見を主目的とした砦程度のものだったらしい。分倍河原の合戦(元弘3年(1333))の際には、鎌倉方の大将北条泰家がここで指揮を執っていたという。公園を抜けた城山の頂上付近は高級住宅街になっており、遺構の類は残っていない。わずかに「天守台」と書かれた標柱が宅地に囲まれた道ばたに立っている。