多摩川音頭の碑
神奈川県川崎市多摩区登戸1274
藤棚から甘い香りが漂ってくる。長い房が乙女の髪のように風に揺れている。こんなに良い景色なのに、訪れる人もなくここにはわたし一人。うれしいような、でも少し居心地が悪くもある。
多摩水道橋(登戸の橋)から南西へ伸びる津久井道からちょっと中に入った丸山教本庁には、北原白秋の作詩になる多摩川音頭の碑が建っている。
「多摩の登戸六郎兵衛さまよ 藤は六尺 藤は六尺いよ盛り」
丸山教は、登戸村の伊藤六郎兵衛が明治6年に設立した富士講の一つ丸山講が発展したものだ。富士と藤をかけたかどうかは知らないが、境内には立派なフジの木があり、並んで立つクスノキとともに川崎市の「まちの樹50選」に指定されている。
境内には幼稚園が併設されており、藤棚の下は子どもたちの遊具で埋まっていた。何と贅沢な遊び場だろう。