2005年6月19日(日)

妙法寺の鉄門

東京都 東京都杉並区堀ノ内3-48-8

鳳凰

荒玉水道道路に面した裏口から表にまわって驚いた。立派な本堂や堂々とした山門(天明7年(1787)建立)がただ者ではない雰囲気を醸している。堀之内厄除け祖師の名で親しまれている妙法寺は、落語「堀の内」にも登場する名のある古刹だ。

鉄門

本堂の傍らにちょっと場違いな感じの鉄門を見つけた。極彩色の鳳凰が頭上に舞い、達筆な漢文の書かれた門柱の足下には唐獅子と牡丹のかわいい図柄が配されている。なんと!明治の建築史上に偉大な足跡を遺したジョサイア・コンドル(Josiah Conder)が設計して、明治11年(1878年)に建てられたものだという。

数々の洋館建築で知られる彼には珍しい作品だが、工部大学校(後の東京大学工学部)の教師として来日したのが明治10年だから、来日の挨拶がわりに小手調べで建てたものだったのかも知れない。

翌12年秋には東京駅の辰野金吾や赤坂離宮の片山東熊ら第一期卒業生が彼の元から巣立っていき、この後、彼の鹿鳴館をはじめとした明治の洋館建築が一気に花開いていく。飛来する鳳凰の図案は、そんな新しい時代の始まりを祝福する瑞祥であるかのようだ。

杉並区教育委員会の説明板 | 鉄門の説明