子之神社
神奈川県多摩区菅北浦5-4-1
旧三沢川を遡っていくと寺社が固まって建つ一画に出る。その中で一番奥まったところに鎮座する子之神社の拝殿で、見事な彫物を見つけた。正面の妻飾(挙鼻)には七福神らしき彫物があり、両脇の木鼻は獏と獅子になっている。本殿にはさらに精緻な彫物が過飾なまでに施されているというが、覆屋内にあって一般には見ることができないのが残念だ。
彫刻と一体になっているかのような古木には「御神木」の説明書きがあった。
拝殿の柱にそろばんのようなものが取り付けてある。お百度参りの数を勘定する計算盤だという。側面に寄進者の名前とともに書かれた日付には「昭和六拾壱年六月拾参日」(1986)とあるからそれほど古いものでもないようだ。
時代劇などでお百度参りをするのはたいていが薄幸の美しい娘で、凍るような冬の朝早くに家を抜け出して、病気のおとっつぁんとか仇討ちとかのために、長く急な石段を息せき切って登り拝殿の前に小石を置いていく。この計算盤を寄進した人は、どんな思いでお百度を踏んだのだろうか。
ちなみに、石段は47段だった。
川崎市教育委員会の説明板 | 由緒書き | 御神木の由来