大谷口配水塔
東京都板橋区大谷口1-4
野方配水塔と双子の大谷口配水塔は、黒ずんだコンクリートの肌にイスラム風のドーム屋根を載せた、精悍なアラブ人男性を思わせるたたずまいが印象的だ。
頭の丸い禁欲的な姿は、キャロットをかぶった司教のようにも見える。
司教の英訳はビショップ。女性的な野方の塔をクイーン、王冠をかぶった駒沢配水塔をキングになぞらえれば、帝都守護のために配されたチェス駒を思わせる。設計者の中島鋭治がそこまで意識したとは思えないが、昔の建物にはそんな物語を想像させるゆとりの様なものが感じられる。
昭和6年(1931)に完成したが、今は足下の公園で遊ぶ子供たちを見守って余生を送っている。
※ 2005年に老朽化のため取り壊されてしまいました