押立神社
東京都府中市押立町4-31-15
調布市の市民会館は、「たづくり」という。公募で命名されたというが、初めて聞いた時には誰がそんな名前を思いついたのかと訝しく思ったものだった。
「調布」の由来は、昔の税制である租庸調の「調」として布を納めたからというが、多摩川の清流で晒して作ったその綿布を「たづくり(手作り、調布とも書く)」というと知ったのは、それからずいぶん経ってのことだった。
東隣の狛江市には、たづくりを詠った万葉歌碑が建てられている。狛江の「狛」は、機織りを伝えた帰化人「高麗」からきていると云う説があるからこの歌が伝わるのもむべなるかなと思っていたが、西隣の府中市にも「たづくり」に由来する神社を見つけた。
稲城大橋に近い住宅地にひっそりと祀られている押立神社は、かつては手津久里稲荷と言われていたそうだ。多摩川流域の広い地域で、布づくりが行われていたということを示している。
府中の名木百選に選ばれているみごとなクロマツを目印に立ち寄ると、境内でもう一本おもしろい木を見つけた。右の写真の木がそれで、ぞうきん絞りのようでもあり、妊婦土偶のようにも見える。
特に有名なところでなくても、みどころはあるものだ。