2003年9月28日(日)

売地の坂(キユーピーの坂)

東京都調布市東つつじケ丘1-13

売地の坂

仙川とつつじヶ丘の間の甲州街道に滝坂という急坂がある。雨が降ると道の上を滝のように水が流れることからその名が付いたというが、度重なる道路改修で昔に比べるとかなり傾斜は緩くなったらしい。坂の上に、榮太樓飴の工場と、キユーピーのマヨネーズ工場が向い合って建っている。

代わって、その滝坂の南側にある売地の坂は現代の滝坂を名乗るにふさわしい急坂だ。京王線の線路跡が売り地に出されたことからこの名が付いたという(※)が、この急坂を鉄道が走っていたとは信じがたい。路面に打たれた滑り止めの凹凸模様が傾斜の厳しさを物語っている。

キユーピー

子供の頃、まだ変速機の付いていない自転車で「キユーピーの坂を登り切れたら一人前」と言って、よく友達とここへ挑戦に来た。品川道を東に走り、入間川に下りる手前を左に曲がると、2mほどの低いガードで京王線をくぐる。ここで頭上を電車が通過する時に大声を出して気合いを入れ、細い道を通ってこの坂の下に出る。

結局、中学になって5段変速のスポーツ車を手に入れるまでここを登り切ることは出来なかったが、まだジェットコースターというものを知らなかった頃に味わった走り下りる時の爽快感は忘れられない。

仕事が遅くなってTAXIで帰る時、懐中電灯を下から当てたように不気味にライトアップされたキューピーさんを見るたびに、あのころのことを思い出す。

※ 調布市文化財調査報告書「調布の古道・坂道・水路・橋」(調布市教育委員会、2001)

(2013/8/23) キユーピー仙川工場は2011年2月末に操業を終了し、再開発に伴ってキユーピー人形も2013年8月に撤去されてしまいました。
榮太樓飴の工場も2013年に八王子に移転し、跡地にはマンション建設が始まりました。

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