「たきび」のうた発祥の地
東京都中野区上高田3-26
落ち葉のつもった道を歩くのが好きだ。柔らかい踏み心地の道を、時には枯葉を蹴り散らしながら行くのが楽しい。それが黄金色に染まる銀杏の絨毯なら申し分ない。
今では公園でさえも落ち葉をそのままにしているところは少なくなった。もちろん、町の落ち葉はきれいに掃き清められてしまうが、それを大きなゴミ袋に集めて捨てるのがわたしにはどうしても許せない。落ち葉焚きをする場所もなく、堆肥を作る庭もない都会ではやむを得ないことではあるけれど、秋の叙情に対する仕打ちとしてはあまりに酷くないか。
新井薬師にほど近い住宅地に、童謡「たきび」(1941)のモデルになったという垣根が残っている。「かきねのまがりかど」を演出するかのように、大きな農家の西と北の二面を囲っている。大きなけやきの木も残っているが、かわいそうに枝を切られて落ち葉を蒔くこともままならない様子だ。
狭い道にはひっきりなしに車が通りとても焚火どころではなさそうだが、門口から拝見した中の様子は、焚火を囲んでお芋を食べる子どもたちがいそうなほのぼの空間だった。