2002年6月16日(日)

太宰治/森鴎外の墓

東京都三鷹市下連雀4-18-20 禅林寺

太宰治の墓

小学生の頃に児童文学全集か何かで読んだ「走れメロス」の健康的で前向きなイメージとは裏腹に、高校に入ってから読んだ「斜陽」や「人間失格」の暗く退廃的な内容はショックだった。

森鴎外の墓

当時の学生は芥川龍之介か太宰治は必ず読んでいて、梶井基次郎や中島敦なども含めて内省的に自我を見つめる作家がはやっていた。三無主義(無気力・無責任・無感動)の時代でもあったので、「河童」や「御伽草子」の寓話に込められたニヒリズムにも共感するものがあったのだと思う。

対して夏目漱石や森鴎外には距離を感じていた憶えがある。ちょっと古い感じがしたのだ。

その太宰治と森鴎外の墓が、太宰が入水自殺した玉川上水の現場から南へ下った禅林寺にある。桜桃忌(太宰の命日・6月19日)には大勢の人が訪れ、向かい側にある鴎外の墓には見向きもしないばかりか、知らずに腰掛ける不届きものがいたとかいないとか。

今日は訪れる人もなく静かな佇まいだが、供えられた花の豪華さが未だに衰えない人気のほどを感じさせる。

ちなみに鴎外忌は7月9日だ。