山口瞳文学碑
東京都国立市谷保5209(谷保天満宮)
「出張のついでに寄ったんだ」と父。「仕事は順調だよ」と一人暮らしの娘。お互いにうそをつきながらカウンターでウィスキーを飲む。新しいSUNTRY OLDのCMだ。こういう絵はサントリーならではだな、と思う。
「冬になると渡り鳥が木の枝をもって渡ってくる。波間に浮かべて休むためだ。春になって鳥たちが帰っていくと、冬を越せなかった鳥の数だけ木の枝が浜辺に残る。その枝をくべてウィスキーを飲む。」(※)
昔見た、開高健が出演する一連のCMが忘れられない。70年代の中頃だったか?いかにも酒飲みが好きそうな、(それも一人でウィスキーを飲むタイプ)、心に残るCMが静かな夜のTV(そんなのが今あるか?)で流れていた。
そんな名CMを生み出したサントリーの前身、壽屋の宣伝部はオーパ!の釣り人開高健や、素敵な船の絵を描く柳原良平、コラム「男性自身」の山口瞳らを輩出したことで有名だ。その山口瞳の文学碑が、彼の住んだ国立の谷保天神に建っている。
残念ながら梅林にウィスキーは似合わない。緋毛氈をかけた床几に腰掛けた人たちは、皆、甘酒を片手にうっとりと梅の花を眺めていた。
※ (訂正)上記のCMは1974年に放送されたサントリー角瓶の「雁風呂」篇で、出演者は山口瞳だった。同時期のCMで、川の中にある大石を叩くとその下に隠れていた魚がショックで浮いてくるという石打ち漁(?)を題材にしたものがあったが、その中で黙々と大槌を振るっていたのが開高健だったかも知れない。単に、オーパからの連想でそう思いこんでいるだけかも知れないが…。(未確認だが、1975年のCMに「怒りをこめて石を打て」篇というものがあるらしい。)(2010/03/13追記)