狛犬妖術師
東京都豊島区雑司が谷3-20-14(大鳥神社)
こんな顔をどこかで見たことはないだろうか。妖幻斎とかなんとか、そんなような名前の、たとえば天野英世あたりが演じていそうな謎の剣士。
鬼子母神の近くの神社でこの狛犬を見つけたとき、その怪異な顔つきに目が釘付になった。長く伸ばした髪の間から覗く背骨の跡も気持が悪い。
台石には「大正七年」と彫られている。これまでに見てきた大正の狛犬は、目鼻立ちのくっきりとした、形容すれば「雄々しい」とか「バタ臭い」と言うのがふさわしいような物が多かったような気がする。それに比べると、とても同時代のものとは思えない幽かな、それでいてインパクトのある姿は、妖気すら感じられるほどだ。