白髭神社と惣岳渓谷
東京都西多摩郡奥多摩町境(奥多摩むかしみち)
奥多摩むかしみちの中ほどにある白髭神社は、大きな磐座(いわくら)に押しつぶされそうになりながらも岩壁にしがみついて建っている。その迫力あるたたずまいは、むかしみち前半のクライマックスと言えるだろうか。
石造りの鳥居の脇には、石を削って作られた北海道の木彫土産のような狛犬が鎮座していた。
岩と言えば、神社からしばらく歩いたところにある惣岳渓谷は、度重なる多摩川の氾濫によりしだくら谷から押出した巨岩怪岩が渓谷を埋めているというもので、別名「惣岳の荒」とも呼ばれている。渓谷の上流に架かるしだくら吊橋から見下ろすと、青い静かな流れと、岩の間をしぶきを上げて抜けていく白濁した流れのコントラストが楽しめる。
吊橋はもう一つ、たてば茶屋址の先に道所橋があるが、どちらも渡った先はハイカーには縁のない山仕事の道で、手持ちぶさたに引返すことになる。それでも、吊橋の上からの絶景とスリリングな揺れは、アトラクションとしては絶好だ。