広徳寺のイチョウ(その2)
東京都あきる野市小和田234
また来てしまった。どうしても、黄金色の絨毯が敷詰められた境内を見たくて。同じような思いの人が、続々と細い山道を登っていく。
先週は黒いところが目立った境内も、今日は見事に散り敷いた銀杏の葉に埋められている。こんなに葉が落ちてもまだまだ枝にはいっぱいの葉が茂り、山門を包みこむような姿は先週とほとんど変って見えない。樹の上と下のバランスが、一番いい時だ。
子供たちは水遊びをするように落葉をかけ合い、おばさん達は女学生のようにはしゃいで写真を撮り合っている。一人で来たらしい若者は、幹に両手のひらをあててじっと黄色く染まった空を仰いでいた。ただ美しいだけではなく、人を喜ばせたり、思索的にさせたり、老樹は深い叡智を働かせて人々に何かを伝えようとしているようだ。