ハケ
府中崖線 / 国分寺崖線
わたしの住む調布市周辺で多摩川から玉川上水方面へ北に上がっていくと、必ず二回坂道を登ります。一回目はそれほど高さはありませんが、甲州街道や京王線が通る立川段丘へと上がっていくもの。二回目は野川を渡った先で武蔵野段丘へ上がるのですが、これはどの道を選んでもちょっと登り甲斐があります。それぞれの段丘の境は崖になっていてそれぞれ府中崖線、国分寺崖線と言います。これを土地の言葉で「ハケ」と呼んでいます。
ハケの語源は水はけと関係があるのでしょうか。崖線からは清水が湧き出し、特に野川の水源となる国分寺崖線の湧水群は有名です。ハケに沿って建てられた社寺や名士の別荘、大きな農家や公園などによって湧水は守られ、豊かな緑を育んできました。
ハケ下には、昔はその水を利用した耕地が広がっていました。東京に人が増えて宅地開発が進むと、耕地をつぶした跡から続々と遺跡が発見されます。それは、ハケの周囲が太古の昔から人の住みやすい場所だったことを物語っています。
ハケに沿って散歩をするとなんだかほっとするものを感じるのは、ここに住んだ人びとの息吹を感じるからかも知れません。