淡島堂(淡島大明神)
東京都世田谷区代沢3-27-1(森巖寺)
自転車通勤の時、いつもこの前を通る。「粟嶋の灸」の看板や「淡島大明神」「針塚建立地」の二本の石柱が気になっていたので、境内の大イチョウが色づいてきた機会にちょっと寄ってみた。
「淡島大明神」の石柱は文化十一年(1814)に建てられた道標で、むかって右に「北 ほ里のうち よツやみち」、左には「東 あをやま 南 ゆうてんし めくろふとう」と彫られている。堀之内妙法寺、目黒不動尊、祐天寺などと並んでお詣りする人が多かったことが窺い知れる。渋谷から世田谷方面へ延びる淡島通りは、その参詣道の名残だ。
淡島様(淡島大明神)は、初代住職の故郷和歌山にある神社で、医療・医薬の神として知られている。腰痛に悩まされていた住職が夢枕に立った淡島様の霊示を受けて施灸をしたところ、腰痛が完治したことからここに勧請されたという。この灸治を参拝者にも行ったことが評判となって、江戸時代には大いに賑わったそうだ。
境内にある淡島神社は「淡島堂」と名前を変え鳥居も除かれているが、仏教の住職が神道の神社を勧請したと言うところが面白い。
もう一本の「針塚建立地」の石柱は昭和55年に建てられたもので、横に「我が国に於て初めての針塚の所在地であります」と書かれている。淡島堂の前には、大東京和服裁縫教師会が昭和11年に建てた針塚の碑が建ち、毎年針供養が行われている。
世田谷教育委員会の説明板 | せたがや百景の解説 || イチョウの黄葉 | 小顔狛犬