妊娠狛犬
東京都文京区本郷1-5-11(金刀比羅宮東京分社)
まん丸く目を剥いたエキセントリックな顔立ちは、今までに見てきた狛犬とはかなり作風が異なっている。中華系の狛犬のようにも見えるけれど、それ以上に違和感をあおるのは阿形の異様にふくれたおなかだ。。
神田の柳森神社神社には下腹の大きなタヌキがいるけれどそれとは違うようだ。前足を載せる珠を彫りかけて途中で止めてしまったものか。
…と考えるふりをしてみたけれど、わたしの答えは決まっている。これはどう見てもご懐妊としか思えない。なるほど狛犬も妊娠するのか、と思うと感慨深い。
向かいの吽形は子供を遊ばせているお父さんかと思ったが、よく見るとおっぱいをやっているところのようだ。とすれば、夫婦の狛犬ではなく一匹の母狛の様々な姿を表現したものか。金比羅さんといえば海運や金運の神様というイメージがあるけれど、子授けや安産の御利益もあるのかな。
台座には嘉永二年己酉秋八月(1849)とあった。