2012年3月13日(火)

筑土神社

東京都千代田区九段北1-14-21(九段アイレックスビル)

九段アイレックスビル

先日訪ねたカトリック神田教会はわかりやすい建物だった。そこで今度はわかりにくい建物を一つ。九段下に建つこの現代的な建物が神社だとは、正面に建てられた鳥居を見てもにわかには信じがたいだろう。

社殿

鳥居をくぐり一階のアーケードを抜けていくと、ビルの谷間に雪隠詰めにされたように社殿が建っている。頭上には空が広がり、一応開放感はあるけれど、世継稲荷と社務所があるはずの社殿右手奥は薄暗い路地のようになっていて、中に入っても良いものかどうかためらわれる。鎮守の森や広い境内がある神社のイメージからはほど遠い感じだ。

筑土神社には戦災で失われるまで、平将門の首桶がご神体として祀られていたそうだ。将門の首は自力で飛んできて丸の内にある将門塚に祀られたという説があるが、筑土神社の由緒によれば、京都でさらし首になっていたものを氏子の祖先がこの首桶に入れて持ち帰り、武蔵国豊島郡上平河村津久戸(現・千代田区大手町周辺)に祀ったとされている。

そんな由緒ある神社だが、都市部からの人口流出により氏子からの収入が減少したために、社殿改築の際、その費用を捻出するために境内地にビルを建てて賃貸オフィス経営を始めたのだという。建物の設計はA&R研究設計事務所。平成6年(1994)に竣工して、翌年の千代田区都市景観賞を受賞した。

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