谷戸川の吊り橋
東京都世田谷区砧公園
吊り橋から谷を覗くと、小さな滝の脇にヤマボウシが咲いていた。薄暗い谷底に白く鮮やかにたくさんの星を散らしている。その下流側には、ドクダミの白い花もたくさん咲いている。
広い芝生のイメージが強い砧公園の、その真ん中を「砧渓谷」と呼びたくなるような一本の川が流れている。まわりを木々で囲まれているので見逃している人も多いかもしれないが、造園のためにつくられた人口の水路ではなく、谷戸川という自然河川だ。成城警察署付近を源流に、暗渠と開渠を点々とつないで岡本静嘉堂緑地の東側で丸子川(六郷用水)に合流している。
山でもないのに谷川があって吊り橋が架かっているなんて、砧公園も奥が深い。水辺に降りることはできないけれど、谷川の水から立ちのぼる冷気と緑陰が、芝生広場で日に焼かれた体を優しく冷ましてくれる。