2012年8月9日(木)

谷地川を渡る日野用水

東京都日野市栄町5-20〜26間

水路橋

水は高いところから低いところへ流れていく。それは絶対に覆らない決まり事。そうして方々から流れ下りてきた水路が集まれば、合流して一回り大きな流れとなって海を目指していく。クロスすることは決してない。

新旭橋

…はずなのだが、人口の水路はその決まりを破って川の上を渡っていく。中央線の駅名にもある「水道橋」はまさにその代表的な例だが、日野用水にも谷地川を渡る水路橋がある。

多摩川から取水した日野用水は、左写真の左奥から流れてきて谷地川にぶつかり、しばらく並行して流れた後に直角に曲がって川を渡る。それなら、谷地川から取水すれば良さそうなものだが、それでは水量が足りないのだろう。

日野用水は戦国時代の永禄10年(1567)から続く古い用水路だ。ほとんど流路は変わっていないと言うから、この立体交差も当時からあった景色なのだろうか。

昔の人は自然に寄り添うようにして暮らしてきた。それに対して現代人は、自然の原理に逆らって自分たちの理屈・利害を押し通している、と言うけれど、その萌芽はこんなところにひっそりと現れていたのかな。そんな気がする。

(立体交差する水路) 玉川上水と残堀川 | 二ヶ領用水 | 水道橋(神田上水)