旧小松川閘門
東京都江戸川区小松川1-1 大島小松川公園
旧中川と荒川の合流地点付近、二つの川に挟まれた小高い丘の上に古代ローマの遺跡を思わせる建物の遺構が残されている。四隅にごつい塔を備えたその姿は、ライン川沿いに並ぶ古城の姿をも彷彿とさせる。
その正体は「閘門」(※)。荒川と旧中川の水位差を解消して水運を助けるための施設だ。現在は役目を終え、丘の下にある荒川ロックゲートがその任を受け継いでいる。
元はずいぶんと大きな施設だったようだが、現在は2/3ほどが土に埋もれていて、開放した扉の上部にわずかに隙間が残るばかり。現役だった頃の水路はこの土の中、かなり下の方にある。
私の思い違いかもしれないが、現在の旧中川や荒川はその想像される水位より更に低いところを流れている印象がある。地盤沈下なのか川の掘削なのか詳しいことはわからないが、数十年の間に周囲の地形(高さ)はかなり変わっているのではないだろうか。
舟運に支えられて発展する一方で、度重なる水害に悩まされ闘ってきた地域の歴史の一端が、その風景のなかに垣間見えた気がした。
※ 今日は小名木川にある現役の扇橋閘門を見てきたので、「閘門とは」についてはそちらの記事を参照してください