清水寺
東京都町田市相原町701
神社仏閣建築を飾る彫り物を見るのが好きだ。龍をはじめ獅子、象、獏、鳳凰、猿、猫、鳩など、巧みに表現された妖獣や動物の姿は見ていて飽きることがない。日光陽明門には150種を越える霊獣たちが彫られていて、いつまでも見ていると日が暮れてしまうので日暮御門と呼ばれているが、日光以外にも日暮門や日暮堂はたくさんある。
町田の清水寺も彫物の素晴らしい日暮堂のひとつだ。事前にはノーチェックだったのだが、たまたま塀越しに見えたしだれ桜に惹かれて立ち寄ってみて驚いた。境内奥の観音堂を始め水屋や鐘楼にまで、みごとな彫り物がこれでもかとばかりにあしらわれている。
MTB散歩を始めて間もない頃、湯殿川の稲荷神社でエイリアンのデザイナー、H.R.ギーガーが彫ったのではと思わせるような鬼気迫る虹梁を見たことがある。それ以来、彫り物の凝った建物ではその部分に注目して見るようにしているのだが、この観音堂の海老虹梁も雲竜の丸彫りには目を見張らせられる。
お堂の扉には何かの物語をあらわしていると思われる人物像が4枚並んでいる。中国の故事か仏教の教えか、どこで見てもこの手の彫り物には悩まされる。一般には興味がないのか、識者にも何の図案かわからないのか、解説がないのが残念だ。