清之神社 / 前原地区集会所跡
福島県双葉郡楢葉町大字前原字付念田16番地
三陸の各地を走った時には、高く盛土された造成地やパワーショベルなどの土木機械をあちこちで目にして津波の被害を実感したけれど、ここではそういう風景に出逢うことがない。
代わりに目にはいってくるのは、広々とした田畑(であったと思われる空き地)を占拠する除染処理施設と、その廃棄物の仮置き場だ。壁も建屋も真っ白な処理施設と、黒や濃い緑のシートで覆われた仮置き場の、白黒・明暗の対比がただならぬ雰囲気を醸しだしている。
その中にポツンと残された清之神社と前原地区集会所は、津波被害の痕跡を伝える数少ない「遺跡」だ。
おおよそこの辺りまでが津波の到達範囲であるらしい。集会所の建物は残ったが、中はグチャグチャに荒れている。津波の記憶を残すために片付けていないと土地の方は言うが、住民のほとんどが町外に避難している現状では、そこまで手が回らないということもあるのではないだろうか。
津波に堪えた二つの建物は、二重の意味で、あの日の記憶を語り継いでいる。
※ その後、集会所は別の場所に移転。神社社殿も取り壊され、2022年に再建されました。