囚われの狛
東京都多摩市一ノ宮1-18-8 小野神社
小野神社の正門は西向きの随神門(随身門)。門の両側に随身像が安置されている。随身とは本来摂政関白などの身辺警護に当る武官を指し、ここでは神社を護る役を担っている。さながら警備員詰め所とでもいった趣だ。門を飾る彫刻にも強面の雷神・風神や龍、獅子などが彫られていて物々しい。
神南せせらぎ通りに面した南門は現在の随神門ができる前の正門で昭和48年(1973)に建てられ、平成9年(1997)にここに移された。以前は赤い木の鳥居が建っていたが、今回行ってみると菊の御紋を掲げた石の鳥居に新調されていた。
なんの気なしに門の中を見ると、牙を剥いた狛犬と目があった。入口を護るという意味では随身像と同じだが、いつもは表に出ている狛犬が門の中にいると、なにか悪いことをして幽閉されているように見える。
昭和54年(1979)に奉納されたと説明があったので、しばらくは外で御用を務めていたのだろう。門が移された時に、空席になった随身の後を継いだのだろうと推測されるけれど、なんかヘマをして閉じ込められちゃったんじゃないの?なんて勘ぐってみたりして。
「失礼なことを言うな!」 狛犬の顔はけっこう怖い。