東京駅
東京都千代田区丸の内1-9-1
「明治が建てはじめ(明治三十八年)、大正が完成し(大正三年)、昭和が焼いた(昭和二十年)」(建築探偵雨天決行、藤森照信・文/増田彰久・写真、朝日文庫)東京駅を、平成が復原しようとしている。戦災で失われた南北のドームと三階部分を復原する工事が、平成22年(2010)完成に向けていよいよ本格化するようだ。
建築界の重鎮辰野金吾の設計による東京駅は、赤煉瓦造の堂々とした姿がまさに中央停車場(セントラルステーション)と呼ぶにふさわしい、日本を代表する駅舎と言えるだろう。皇居に向って大きく両手を広げたような姿を評して「横綱土俵入り」と呼んだ人がいたが、西の門司港駅に対する東の正横綱の地位は揺るぎない。
丸ビルを初めとする丸の内の古い“ビルヂング”が新しいデザインに建替えられていく中で、オリジナルを生かしつつもどんなスパイスをかけて21世紀の新駅として生まれ変わるのか、新装なって再会する日が楽しみだ。