むいから民家園(雪景色)
東京都狛江市元和泉2-15-5
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
(「雪」三好達治)
2004年の東京は雪空で暮れた。
大晦日の夜、紅白歌合戦やカウントダウンの喧噪を抜け出してトイレか何かに立った時、そっと窓を開けて夜の町を見ながらこの詩を口ずさんだ人もいたのではないだろうか。
降り積む雪の中に音が閉じこめられてしまったかのような、神秘的な雪の夜の静けさが私は好きだ。三好達治の詩はそんな夜のもの思いにしっくりと寄り添ってくる。
あけた元日の朝は、すがすがしい快晴になった。雪景色に光る朝日がまぶしい。
太郎と次郎の家の屋根は、なんとなくむいからが似合う気がして狛江の民家園へ雪景色を見に行った。太郎も次郎もまだ寝ているのか、誰もいない軒先で干し柿が揺れていた。