武蔵野中央公園(中島飛行機武蔵製作所跡)
東京都武蔵野市八幡町2-4
武蔵野市と西東京市の境に近い都立武蔵野公園には「はらっぱ公園」という別名がついている。方言でも幼児語でもなく、辞書にも堂々と載っている「はらっぱ」は、考えてみれば不思議な言葉だ。“っぱ”って何だろう。
アルプスの少女ハイジが大自然に囲まれて、友達や動物たちと遊ぶのは「野原」。ドラえもんとのび太が、野球をしたり土管のまわりに集まって話をしたりするのは「空き地」。「はらっぱ」にはその中間の、自然でもなく都市にも呑込まれない微妙なニュアンスが感じられる。
公園入口近くに置かれた説明板は「緑の畑地」という言葉を繰り返し使っていた。コンクリートジャングルに囲まれて都市の部品になるのはイヤだけれど、野生に戻って不自由をするのも困るのだ。自然とうまく折り合いをつけて畑地として暮らしの中に取り込んだ、土と人間の蜜月に思いを馳せて懐かしんでいるかのように思えた。