赤坂氷川神社の狛犬
東京都港区赤坂6-10-12
都心とは思えない深い森の中に、二匹の狛犬が蹲っている。その姿はあたかも、縁の下や木の根がつくる洞の下にじっと動かないヒキガエルのように見えた。
境内には狛犬が多い。近代の勇ましいタイプに対して、江戸時代のものは何ともほんわかとした味わいを感じさせてくれる。その中でも一番古いのが、社殿の前に鎮座するこの狛犬だ。銘はすり減って読みにくいけれど、延宝三年(1675)の作であるらしい。
冒頭に書いたように、第一印象はヒキガエルだったけれど、よく見ると阿形の方は遠慮がちに「ワン」と鳴いた甘えん坊の小犬みたいでもある。どっちにしても見飽きない姿だが、長居は無用。暗い森にはヤブ蚊がいっぱいだ。