2011年12月6日(火)

三四郎池(育徳園心字池)

東京都文京区本郷7-3-1(東京大学本郷キャンパス)

飛び石

大学のキャンパスにあるというので、開放的な雰囲気を想像していたのだが、見事に外れた。元は大名屋敷の庭園だったというけれど、小石川後楽園や六義園とも異なる、静謐で幽玄な雰囲気が漂っている。

全景

改めて名前の由来になった夏目漱石の「三四郎」で、三四郎と美禰子の出会いの場面を読み返してみた。森の中にある池の端にしゃがんだ三四郎は、ふと目を上げて岡の上に立つ美禰子を見つける。その岡の下に池があり、池の向う側は高い崖の木立になっている。開放的だなんていう記述はどこにもなく、全然違う風景を思い描いて読んでいたことに気づかされる。想像力が足りなかったのだな。

秋の感傷にふけるにはちょうど良さそうな場所だけれど、池のまわりに現代の三四郎たちの姿は見られない。今の若者たちは忙しくて、池の端で物思いにふけるような暇は持ち合わせていないようだ。

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