入谷鬼子母神
東京都台東区下谷1-12-16 (真源寺)
さすがに声に出して言うことはなくなったけれど、事あるたびに頭をよぎる地口がいくつかある。曰く「驚き桃の木山椒の木」、「当たり前田のクラッカー」、「おそれ入谷の鬼子母神」…、その鬼子母神に行って来た。
「恐れ入谷の…」が広く人口に膾炙して、入谷鬼子母神もさぞかし賑わっていることだろうと思って来てみたが、連休中というのに訪れる人はまばらでひっそり閑としている。今時、そんな横丁のご隠居さんのような物言いはしなくなって久しいと言うことか。それでも、七夕の朝顔市の時には大変な賑わいになるらしい。
先の地口は「恐れ入谷の鬼子母神、びっくり下谷の広徳寺、どうで有馬の水天宮、志やれの内のお祖師様、うそを築地の御門跡」と続く狂歌の一節で、「野暮天」の命名者でもある狂歌師の大田蜀山人(南畝)の作であるらしい。
この記事を書くために住所を調べて驚いた。よく見ると住所が“下谷”に変わっているではないか。「びっくり下谷の鬼子母神」である。