知る区ロード・みみのオアシス
東京都杉並区宮前2-12
私の耳は貝のから 海の響をなつかしむ(「耳」堀口大學訳)
このジャン・コクトーの詩から、あなたは何を思い浮かべますか。
・「これがわたしの死の星です」と言った美奈さんの人差し指(巨人の星)
・海水浴に行って食べたサザエの壺焼き
・なみうちぎわで彼(または彼女)がささやいた愛の言葉
・そんな詩は知らない
建築家の六角鬼丈とサウンドスケープ・デザイナーの鳥越けいこの共作(平成3年(1991))になるいろいろな装置を見て、そんなことを思った。
杉並区の遊歩道「知る区ロード」に配された四ヶ所のポケットパークのひとつ、みみのオアシスには竹林が生み出す自然の音を聞く7つの耳が置かれている。かがんだり目隠しをされたりして聴く仕掛けは窮屈だが、聴くことに集中するためには身体の機能を奪ったほうが良い、と説明があった。
一通り試してみて、竹林の中に歩みいる。
わたしには生の耳で聴き、頬に風を感じて、木漏れ日に目を細める、その方が気持ちよかった。