三好達治文学顕彰碑
東京都世田谷区代沢4-46-10付近
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。 (「雪」測量船所収)
この詩のイメージがあったので三好達治は雪深い北国の生まれかと思っていたら、大阪生まれだった。一時期福井県の海沿いの町に住んだことがあったが、それは「雪」を発表した後のこと。晩年は、世田谷で暮らしている。
その世田谷区代沢に彼の文学碑が建った。北沢川緑道に建った文学碑はこれで5人目。大田区の馬込文士村ほどではないけれど、文学好きには魅力的な散歩道になった。
晩年の作「こんこんこな雪ふる朝に」(百たびののち所収)には、梅や水仙が咲き赤いつばきも花開いた春間近の雪景色が歌われている。年をとると、若い頃よりさらに増して春が待ち遠しくなる。…ような気がする。彼もそう思ってこの詩を書いたのかどうかはわからないけれど、初期の「雪」と対比して読むとおもしろい。